TSショートショート 019 セクハラのペナルティ

「あんたの新人部下からセクハラだって苦情が来てるんだけど」
20160231007-0.jpg「はぁ?なんのことっすかぁ?」

 浅黒く日焼けした背の高い男が言った。スーツで決めてこそいるが、髪の色は限りなく金髪に近い栗色だ。

 スーツよりもTシャツに半ズボンの方が似合う。

 いかにも軽薄そうな雰囲気を漂わせており、常にへらへらしている。

「あんたより背は低いけど、一応上司なんだから敬語使いなさい」

「は、すいやせんっしたぁ~。反省してぁ~っす」

 全く反省している様に感じられない。

 こんなのが社会人としてやっていられるのは有力なスジからのコネ入社であるらしかった。

「一応警告しましたからね。今回はこれで済ませるけど、次に何かあったら配置替えも考えます」

「心外っす。濡れ衣っすよぁ」

 もうちょっと語尾をちゃんと出来ないの?…と上司の女は喉まで出かかったがこらえる。

「セクハラには対価型と環境型があるの知ってる?」

「はぁ?何スかそれ?」

「…もういいわ。とにかく、まさかとは思うけどこうして注意されたことで逆恨みして彼女につらく当たったりしたら…」

「しーたーらぁ?」

 完全にふざけている。会社を何だと思っているのか。

「殺すわよ」

「あーひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁ!!」

「何がおかしいの!」

「だって幾らなんでも無理っしょ!殺すなんて」

「殺すくらいの気持ちってこと。あたしも苦労したからセクハラは絶対許したくなくてね」

「苦労?苦労って何スか?」

「どんな苦労だったか知りたい?」

「オレが味あわせますよ」

「へぇ」

「女なんて“嫌よ嫌よも好きの内”っつって、実は喜んでるんすよ」

「勝手な決めつけだわ」

「だってあいつオレの評価が欲しかったら寝ろっつったら付いてきましたよ」

「…良く聞こえなかったんだけど今なんて?」

「あいつ母子家庭で苦労して大学出て大手企業に入ったんっしょ?ここでオレの機嫌損ねてクビになったら母ちゃん悲しむだろうなあっつったら一発でしたよ」

「へぇ…」

「この手は効きますわ~。毎年10人を目標に食ってんスけどね」

「あっそ。じゃあお望み通り体験させてあげるわ」

 女上司の軽いパンチがセクハラ男の腹に入った。

「な…あんすかぁ?…ん?何だ…」

 何やら異変が起こり始めていた。

「セクハラされる女の気持ちを体験してみたいんでしょ?適えてあげる」

「うっ!」

 腹を押さえるセクハラ男。

 その姿勢のままたちどころに肉体は女のものとなり、服装も変わり、OLの姿になってしまった。

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「え…ええええっ!?」

「あたし人事権あるからさ。あんたとコンビで悪さしまくってたあのハゲ課長の秘書に配属しといたげるから」

「え…あ…」

「あいつも我が社の闇だわ。セクハラどころか秘書は何人も妊娠・堕胎・自殺だもんね。ま、あたしがいなかった頃のことだけど。全く政治家の親戚ってのはいい身分だわ」

「あ…あの…」

「さ、戻りなさい。あんたの“部署”に」

 季節外れの新入女子社員と“ハゲ課長”はその後女子社員の妊娠に端を発する不倫騒動を引き起こし、“ハゲ課長”の家庭崩壊の後、駆け落ち同然に行方不明となり、2人とも社を去った。

(END)

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