TSショートショート 004 証人保護プログラム

 関わり合いになるべきじゃなかった。
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 そう思っても後の祭りだ。

 簡単に解説しておくと、オレたち二人はただの貿易会社のサラリーマンだった。

 詳しい経緯は省くが、海外において「ヤバい現場」を目撃してしまった。
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 紆余曲折あって裁判で証言台に立つことになった。

 当然、犯罪組織にしてみれば目の上のたんこぶだ。

 こういう時に使われるのが「証人保護プログラム」である。

 法律的な身分を国家が書き換えてしまい、場合によっては整形手術まで請け負って「証人」のその後の安全を確保するのだ。

 でないと誰も裁判で証言などしてくれなくなる。

 ウチの会社が天下りで外務省のOBも受け入れていた関係もあり、オレたち二人は証言台に立つことになった。

 幸か不幸か二人とも結婚しておらず、天涯孤独も同然だった。

 …ま、それはそれでいい。

 問題は「どんな姿にされたか」なのだ。



「今日何にする?」

「ん~、カレーかな」

「またカレーかよ。幾ら好きでも流石に飽きたぜ」

「じゃあシチューで」

 郊外の牧場でラフなスタイルの美女二人が他愛のない会話をしている。

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 親子連れのパパがこちらを見つめてママに怒られている。

 折角なので二人して笑顔で手を振ってやった。

 我が国の科学技術はいつの間にかトンでもないところまで進んでいたらしく、オレたち二人は手術から目覚めると全くの別人になっていた。

 ついでに女になっていた。

 なるほどこれなら犯罪組織が幾らオレたちを探しても見つかる訳が無い。

 どうやら単なる外科手術ではないらしく、ちゃんと月のものまで来る。冷え症に便秘気味だったりもする。

 そして…何よりたまに自分でうっとりするくらいに綺麗だ。

 ガサツな男の挙動ではこの美貌も活かし切れない…と考えた訳でもあるまいが、国家から派遣されたらしい女性コーディネーターが付きっきりで指導してくれるおかげでこの頃は化粧も上手くなった。

 霞を食わせる訳にもいかないという訳か、この頃は外務省の出先機関の外郭団体に勤めて事務職…OL…をやっている。

 まさか数年前までは毎朝スカート履いて仕事する人生が待ってるなんて思いもよらなかった。

 これから先、どうなるのかは全く分からないが、とりあえず“平凡に”生きて行くしかないんだろう。

 遂にプライベートでも無意識に普段着としてスカートを選んで牧場にやってきたことを思いだした。

 男言葉は治ってないが…直す必要も余り感じない。

 ま、こいつと一緒に生きて行くってことになるんだろうな…。

 何となくお互いにそう思うのだった。

(END)

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